磁気センサとは

 磁気センサは磁気の大きさや向きを測定するセンサである。磁気は磁石や電流から発生する。人体や紙幣からも磁気は発生するがその根本は磁石か電流である。発生した磁気を様々な検出素子で検出しセンサを構成する。

磁気センサの特徴

磁気センサはセンサ原理のなかで最も広く使われる。それは次の理由による。
・磁気は検出対象が広く、極めて広範囲な用途がある⇒電子のスピンモーメントから自然環境、人体、工業設備などあらゆる現象は磁気を伴うことが多い。

・電磁気として理論が確立しているため設計計算が可能であり開発がしやすい

・あらゆる磁気検出素子が開発されてきたため、
⇒低コストが可能
⇒精度、信頼性が高い

機械システムにおいて、磁気センサをうまく活用し、制御することが肝要となる。

磁気検出の概要

1.磁気回路と検出素子
 磁気センサは「磁気を発生する源」、「その磁気を導く磁気回路」、「導かれた磁気を検出する検出素子」によって成りたつ。高性能なセンサの基本要件とは磁気の発生源である磁石あるいは電流は安定していること。導引する磁気回路はロスがないこと。検出素子は高信頼であること、となる。
 検出の方式としては、大きく3分類される。

①磁石の動きを検出する
検出素子上に磁石を配置し距離を遠隔↔近接させればスイッチとなるし、多極着磁した円環状ロータを回転させれば回転センサや角度センサが構成できる。

②磁石を磁気発生源とし磁性体の動きで検出する
 検出素子上に磁石を隔てて配置し、その間に鉄板で遮蔽すればスイッチとなる。あるいは磁石を素子背面に背負い、鉄ギヤを前面に配置すれば回転センサとなる。

③電流の発生する磁界を検出する
 アンペールの法則にしたがい電流周囲に発生する磁界を検出する。電流センサなどが構成できる。

2. 磁気センサの種別

 磁気センサはその信号処理方式によりデジタル出力かリニア出力か、いずれかの方式となる。

①デジタル出力

 磁気の大きさを閾値にスイッチ(以下SWと記す)させるセンサICである。この中の分類として「バイポーラSW」と「ユニポーラSW」がある。以下は単なるスイッチを記したが、多極着磁ロータを検出ターゲットとすればセンサICはHigh/Lowパルス波を出力し、回転センサが構成できる。

 -1)バイポーラSW

 磁石極の正負を判別するSWであり、ゼロ磁界にヒステリシスをもってスイッチ動作するもの。ONする磁界とOFFする磁界にはノイズでチャタリングしないようヒステリシスが設けられている。

 -2)ユニポーラSW

 磁石の一方の磁気の大きさでスイッチ点が設定されており、その磁力でON/OFFする。スイッチ点は大小バリエーションがあり用途に応じ選定する。近接スイッチが一例。バイポーラ同様ヒステリシスが設定される。

②リニア出力

 磁界の大きさや方向を検出し連続出力を行うものを言う。分類として「磁気強度検知型」と「磁気ベクトル検知型」がある。スイッチタイプと異なり信号処理回路は外乱防止や演算ロジックなどが組み込まれた複雑なものとなっている。

次は⇒(2)各種 磁気センサの原理と特徴 その①