オートモーティブワールド2024

東京ビッグサイトで催された本展示会に1月26日(金)見学してきましたので、センサ関連の内容を解説します。

●企業名:東海理化
●製品:磁気センサ類
【解説】東海理化はAMRの自社工場を持っているため、AMRを軸に磁気センサをラインナップしており、カスタム対応が可能です。
角度センサ、ステアリングアングルセンサ、近接センサ、など磁気センサが多数ありました。
超音波センサは基盤一体型でADAS用ではなく民生用のようでした。
センサは部分的に私の勤務先と競合するものがあり、立ち入った技術詳細は聞きませんでした。

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●企業名:北陸電気工業
北陸電機はセラミックの得意な会社で、ここに掲載する以外にも荷重センサ、圧力センサを有している。
⑴製品:温度、湿度センサ

湿度センサは容量式と抵抗式の2種を展示。抵抗式は30年の実績があり耐久もあるそう。
感湿膜に水分が吸脱着することにより、静電容量が変わったり、電気抵抗が変わったりする現象を利用している。センシング材質は不明だが高分子膜と推定され、セラミックではないもよう。空調制御には利用がされており開発品は時間応答がよいのが特徴。自動車環境で長期信頼性が確保できるか、水分の吸脱着の恒久性などは課題があるかも。

⑵製品:圧電音響部品(超音波センサ)

PZT使ったソナーができる、という展示があった。
「ADAS用のソナーは作らないのですか。」との問いに「実はその意見が多数きている。検討していかなくちゃいけないとは思っています。」とのこと。ADAS用ソナー素子を製造しているのは日本には2社しかないので、進められると面白いところである。

●企業名:スミダ電機

⑴製品:レゾルバ代替角度センサ
渦電流式角度センサ。基板コイルから発した高周波磁気を星形ロータの交差する面積変化により受信コイルの磁気入力の振幅値が変わるので、検波しSIN/COS信号を得ることができる。
従来のスラスト方向のロータに加えアキシャル方向のロータのタイプが開発され、配置誤差が改良されたと思われる。アキシャルタイプは軸貫通となり現在のHEVモータ用のレゾルバと同じような配置と言える。
欧州カーメーカのEVインバータには採用されているとのこと。国内には未採用である。

●企業名:松尾製作所
●製品:レゾルバ
私の勤務先では、長らく取引のあるプレスメーカである松尾製作所ですが、10数年前からレゾルバ開発に取り組んでいたことは知っていました。
しかしここまで完成度を高めていたのは驚きである。我々も当時、開発を試みたことはあったが、なかなか特性が出せなかった。コイル巻き位置と空間磁場分布の組合せなど技術の蓄積が必要であることがわかり、開発を止めた。国内HEV用レゾルバはこれまで多摩川精機独占であったが、このたび本レゾルバが某カーメーカに採用される見込みである。
磁気回路設計、だけでなく磁場解析シミュレーションも大学と連携し独自開発している。ASICも開発。長年の開発を支えたトップの判断と開発陣の粘りに感心した。

●企業名:センシリオン
●製品名:温度センサ、湿度センサ、CO2センサ、パーティクルセンサ
温度、湿度、CO2、パーティクル など車室内環境のAC制御に使用。湿度、CO2は化学センサであり、経年変化は多少あると推定する。
コンデンサーの誘電体は、周囲の湿度に応じて水を吸収または脱着するポリマーによりセンシングする。


【CO2センサ】

詳細説明はなかったが化学センサであり、経年変化は多少ありそう

●企業名:㈱マップフォー、メーカ:Hesai Technology社(中国)
●製品:3D LIDAR
同社はモータ回転式のLidarとソリッドステートLidarのラインナップを準備している。注目はソリッドステート式であり、可動部がなければ信頼性、コストの面で車載普及の可能性がある。
【解説】AT128は縦128個の素子列により垂直FOV25.4度を0.2度分解能で識別する。ch数も128ライン。水平方向120度、0.1度分解能で20Hz、測距が200mと大きいので、投光はMEMSミラーをスキャンしているものと推定する。24kHzで発光し、ミラーを20Hzで駆動すれば、
24000/20=1200点/フレーム、120度/1200点=0.1度分解能
となるはずである。

・次世代の前方センシング用・高解像3DLiDARセンサ
・水平120°と垂直25.4°の視野で200mまでの距離レンジ
・チャンネル数128ラインで0.2/0.1°の分解能
・測定スピードは10 or 20Hz、マルチエコー対応
・PTP対応、コンパクト設計、高い環境性能