基本的な進め方は上述しましたが、事前準備等注意事項をあげておきます。
STEP1)事前準備
製品の機能や構造を理解、整理すること。「信頼性ブロック図」を作っておく。これらはFMEAの事前準備と同様です。
STEP2)トップ事象の設定
設計段階では「望ましくない事象、重大故障」をあげればよい。また不具合発生時は「その不具合事象」となります。不具合事象とは仕様性能に対する喪失であるので、あいまいな表現をすると以下の展開がしにくくなるので注意。
STEP3)故障原因の記入
上位レベルから順に下位レベルへと展開していくが、通常ASSY⇒SUBASSY⇒部品へと順に展開していきます。また各階層で粒感をそろえていくこと。
STEP4)原因の評価
設計段階では、記入した原因は上位の事象にどれぐらい寄与するのか、影響度は、発生確率は高いかFMEAと同様の方法で評価します。また不具合発生時の場合は、その原因が今の不具合に対して直接の因果関係なのか、理論的だけでなく評価、観察、分析により評価します。そしてその原因が本不具合の発生要因になりうるのかどうかを判断し、〇(可能性あり)、×(可能性なし)をつけます。
STEP5)対策実施、効果確認
対策案が決まったら、現状品に対策案を盛り込み検討、評価します。ここで対策前品とくらべ明確な効果があり、対策として有効か検討します。
STEP5)エビデンスを残す(標準化)
不具合勃発から最終解決までの活動記録、データ、設計検討内容、FTAなどを記録として残すことが重要です。100点満点の技術報告書にしようとすると、また工数圧迫となりますので、データと結論だけと割り切ってもよいかもしれません。ノウハウシートのようなもの概要を自社内に展開するのもよいでしょう。
これをしっかり行っておかないと数年後同じような失敗を起こすことになります。これらのエビデンスは自社の大きなノウハウ、財産ですので是非残していただきたいと思います。
なお、ここではFTA進行するうえでの枠組みを説明しました。しかしこれを実際に行うのは技術者であり、技術知見、経験の豊富なスペシャリストがいないと始まりません。知見、経験の浅い者やFTAの経験が少ない者で行うと、何倍もの時間がかかるばかりか真の結論に達しないでしょう。そしてその専門は、製図、材料、強度計算、統計(QC手法)、工法などであり、各専門家を集める必要があります。 理想としては全分野にわたりある程度の知識を持つ一人の設計者が俯瞰し全体を統括するのがよいです。
不具合解決には「FTAの駆使と専門技術での仮設検証が極めて有効」ということになります。
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