1.車両システムとセンサ
自動車に求められる安全性、燃費、利便 を向上させるため、システムの電子制御化が進んできています。各システムの基本構成はセンサ⇒ECU(Electronic Control Unit)⇒アクチュエータ となり、信号伝達経路もおおむねこの通りとなります。
センサの役割は、「車両の内外の物理的状態を検知し電気信号に置きかえてECUに送信する」ことです。
続いて、ECU機能として「種々のセンサから信号を受け取り、車両状態を判断し、システム動作の指令を出します。ECUの指令を受け、動作するのがアクチュエータとなります。

1-2.システム構成例
たとえば一例としてABS(Anti-lock Braking System)をあげますと、下図のような構成となります。

1-3.ABS作動の動作
ABSの説明によると「急ブレーキ時や滑りやすい路面でブレーキを踏んだときに、タイヤのロックを防止して、ハンドルの操作性をサポート」となっています。
雨や雪のような滑りやすい路面で急ブレーキを踏むと、タイヤはロックし路面との摩擦力が落ち、安定性を失います。車輪速センサはタイヤの回転数を検出しており、通常では車体速と等しいパルスを出しますが、ロックすると急減にパルス数が減り、ECUはロック判定をします。
するとECUはブレーキ油圧配管中のソレノイドバルブを閉じ、ブレーキパッドを駆動するホイルシリンダの油圧を下げブレーキを緩めます。タイヤは再度路面とグリップを回復します。するとまたECUはバルブを開け油圧を高め、タイヤを止めに行きます。これを1秒間に数回繰り返し、グリップをそこそこ保ちながらも最大の制動力をあげる努力をします。

次のページでは「回転センサの原理と特長」についてご紹介していきます。