不具合対策時の進め方
前項で言いましたように、設計開発でのFTAであらゆる可能性を基本事象まで行うのは多岐にわたり、かつ階層が深くるので現実的ではありません。
基本事象まで進めるのはリスクの高い重点事象を決めて行うようにするのがよいと思います。
ところが不具合対策が必要な場合は、真の原因を特定し対策をうたないといけません。初期的な調査を行い、原因系の中項目あたりで、優先順位をつけて絞り込む必要があります。そして絞り込んだ項目についてさらに細かく分解をしていくことです。優先順位をつけた絞込みをしないと実施事項が膨大となってしまいます。外観調査でPCBパターン部の腐食断線が見られたので、そこに注力します。そして、シール部Oリング周辺の異常が見られたとします。原因の可能性が見えてきましたので判定を記入します。
影響のないものは「×」、可能性が残るものは「△」、原因の可能性が高いものは「○」とします。
そこからさらに調査を進めると、Oリング部が高温となりへたったことがクローズアップされてきました。
以降は原因系である受熱の理由と選定したOリングの妥当性など調べ、受熱を回避するか、Oリング耐熱性を上げるかという対策になりそうです。
先ほど言いましたように、設計段階でのFTAは重大なものに限られますので、故障モードを網羅するにはFMEAが主となると思います。FTAを行う場合はまずFMEAを行ってから、不具合事象を絞込んで実施することです。
なお、FTA図の類似でANDやORなどの論理記号を使わない表で行う様式を「要因系統図」といいます。論理記号にこだわらない場合は「要因系統図」もExcel等で使いやすいと思います。(私は要因系統図が多いです)