いままでの私の経験から開発を進めるのに必要なコツのようなものをお伝えしたいと思います。MOT(Mnagement Of Technology)やマーケティング手法ではなく、実際の感想を交えお伝えします。
はじめは開発ターゲットの設定
開発ターゲットの設定は簡単です。私は「売れるもの」で「頑張ればできること」をやればいいだけだと思っています。しかし、このシンプルなことをすんなりやれることはまずありません。まず「売れるもの」は何か?を見つけ出すのは大変です。今から売れるのは、だれもできていないものであり、創造しなければいけないからです。現在の現状、問題点、欲求を把握したうえで将来の予測を立て、そこに何が必要かを感じ、新たに創造しなくてはいけないのです。
ここで注意しなくてはならないのは、現状をよく知る者=開発を進める者、とは必ずしもならないことです。現状をよく知っているのは、現場設計者でありカーメーカなど得意先と情報をやり取りできる人間でありますが、彼らは得てして「今日と明日を生きるのに必死」であり、消耗しており、最新の技術トレンドに疎い(吸収する暇がない)ことが多く、新たな開発につなげることができません。Outputが仕事ですがInputができていない。
一方、開発部の者たちは日々の技術トレンドを勉強し吸収していますが、得意先やユーザーと直に接触していないため、「今何が必要か」が肌身としてわかっていません。知識上はわかっても有機的なつながりとして必要度の強弱がわかりません。また量産化したことがないので、ニーズを聞かされても実現可能性を判断する勘が働きません。InputをするがOutputへつなげられません。
これらの根本問題を解決するのは先を見据えた組織的なローテーションが必要だと感じます。私も量産設計から入りましたが、開発部へ移動したり、量産設計に戻ったりを3往復くらいしており(その間ずっと一貫してセンサ開発でしたが)、その過程でなんとなくトレンドをとらえて開発ができた気がします。組織的なローテーションが必要と言いましたが、間違ってはいけないのは、「専門を大きく変えすぎないこと」です。ここを間違え、近視眼的な都合で配置変えを行うと成長できず人材がつぶれてしまいます。
話をまとめますと、「売れるもの」かつ「頑張ればできるもの」を見つけるためには、顧客のニーズを感じている営業や現場設計者の情報をとらえ、それを解決実現しうる技術シーズを選定し、具体的な課題抽出とともに開発計画を立案できること、となります。
そのためには現場設計者と開発設計者の垣根のないディスカッションが必要となります。両部署をまたいだ経験があれば、そこのキーマンとして余人に代えがたい存在となります。
開発ターゲットの設定⇒マーケティング手法の活用
そういった土壌、環境ができれば、勘でもなんとかなるかもしれません。が、実践のための手法=マーケティングがありますので、適用すべきと思います。代表的なもので PEST分析、3C分析、SWOT分析くらいは実施してみて、開発の方向性が間違っていないことを確認しておいたほうがよいと思います。
次はそれらの具体的な手法について触れていきたいと思います。