-1.研究開発から事業化へ
研究、開発のターゲットを決め、それを事業化し、世に売出すまでには以下のステップがあります。
①研究→ ②開発→ ③事業化→ ④産業化
各ステップをくぐりぬけていき、製品となり、量産をして安定した利益を生むこととなるはずですが、各ステップ間には、「魔の川」「死の谷」「ダーウィンの海」と称される関門があり、一つの研究アイテムが花開くのは、気が遠くなるほど確率は小さい。
かと言って、全部の研究ネタを並列に次ステップへと進め運営するのは、工数、費用的に無理です。
ではどうするか・・・
-2.各ステップの特徴を考える
①研究は発散型である、シーズ指向です。
技術シーズをもとに基礎研究をすすめましょう。多数ネタを仕込みます。
取組んでいる技術が花開くとは限りません。しかしやってもやっても無駄にならないよう
マーケティング手法を使い、開発ターゲットに結び付くかを考え、適合するものは開発ステップへと移行させます。ここで大事なのは次ステップに行かなかった技術アイテムは捨てずに倉庫にしまっておく(技術の棚入れ)ようにしましょう。時期やトレンドが変われば重要になってくることもあります。
②開発は収束型である。ニーズ志向
マーケティングから市場ニーズ(有効な仕様)に落とし込みます。ここではまず、研究シーズがニーズにマッチするか吟味が必要です。価値目線とコアコピタンスがあるか
③事業化
技術開発の進捗とともに営業、製造、販売、アフタサービスなどの社内連携が必要になってきます。
予算額も必要となり、社内工数もかかります。事業化検討のマネジメントの体制が準備できないと行き倒れます。
④産業化
競合に勝てる経営戦力が必要であり、テーマを絞り込み集中投資します。
–3.新技術から商品へ進めるポイント
新技術から商品化へ進めていくとき、以下の項目を実施する必要があります。
①技術シーズの特定
②コア技術の明確化
他社比較したときの優位な技術は何か
③開発製品と特長の明確化
技術シーズからたくさんの商品への発想を行う。
その後、マーケティング手法を用い、「売れるものでやれるもの」テーマを絞り込む
④マーケットでの確認
少数顧客での販売を行いレスポンスを見る。事業化のイメージを固めていきます。
自動車業界では、OEMと車種展開計画をすでに立てているので、量産化したら数年で車種展開し
数量増加していくことが多い。
よほどの新システムでは代表1車種で生産を行い、様子をみる場合もありますが。
⑤本格生産、販売
自動車の場合は最初から本型本工程で生産立ち上げします。標準装着などの数量増加の可能性が
ある場合は、自動化生産を想定した設計ー生技で一体となったSE活動を開発時から進めておく
ことが肝心です。
-4.各ステージ移行時の評価
研究~開発~事業化(~産業化)の次ステージへの移行時期では必ず関係者でレビューを行い、
次ステージへの移行可否判断を行います。着眼点は
・技術素性がよいか、根本的な欠陥はないか。
・マーケットのニーズの進捗(=未開か、萌芽段階か、初期的な導入時期か、すでに世に行き渡って
いるか)に対し自社技術がどのステージ(研究、開発、事業化、産業化)にあるのか、を対比し、
チャンスがあるのかどうかを検討する。
・開発規模が適正か。
基幹技術があってそこにハイテクをちりばめるのは成功しやすいですが、ハイテクばかりだと
技術完成が困難になります。
※.次ステージへ移行できなかった技術アイテムは”棚入れ”となりますが、時代に合わなかった場合もあり、あるタイミングで有効化する場合がありますので、捨てずに大事に取っておきましょう。
次はテーマを評価、判断するためのマーケティングツールについて概要をお話したいと思います。
私はマーケティングの専門家ではありませんので、普段の開発で使用する程度の初歩的なものについてとなります。