今後のシステムの高機能に伴い、センサには一様に高機能、高精度など求められてくるのは一般的事項であるが、ここでは社会情勢から、要求の高い項目をあげた。

⑴高齢社会からの要求
身体援助、介護、見守りに貢献するセンサが求められる。人体の五感を感じ取り、マッスルツールや義肢などを稼働させる、ウェアラブルな高感度センサ。あるいは音声や顔の動きを判断し見守りシステムや介護ロボットに情報伝達する。心拍や血圧、呼吸、体動などを検知する、など開発が進んでいる。微小検出、小型・薄肉、高分解能、低消費電力、無線化、検出の信頼性などがキーワードとなる。

⑵事故のない安全安心からの要求
自動車では衝突時の安全から衝突防止や予測運転へと安全に向けた技術が進化しており、運転の自動化も開発が進んでいる。自動車内外の各種周辺監視センサは距離範囲や検知角、分解能の拡大と同時に小型化、廉価化も求められており、異種センサのフュージョンやインフラ連携したセンシングが一層進むものと期待される。広範囲、小型、人検知、低コスト、ロバスト性、フュージョン、機能安全、がキーワードとなる。
 また建設現場や生産現場においては、落下や衝突など労働災害防止のために、例えばモーション検知とAIを使ったリアルタイム危険監視が開発されてきている。

⑶医療、ヘルスの要求:化学センサの飛躍
物理センサの場合、視覚は光、聴覚は音波、触覚は圧力といった単一の物理量を検出すればよい。 
ところが化学センサは味覚や聴覚を数千種類もの物質が対象となっており、各物質ごとの濃度や配合を分析し電気信号に変換しなければならないため、非常に複雑、困難である。これら受容体が検出した膨大なデータをAIにより分析、処理して出力することにより、味覚、嗅覚がリアルなセンシングとなっていく。化学センサの躍進は味覚、嗅覚障害者への福音だけでなく、血液成分や細胞解析、呼気、がんマーカなど医療への貢献も期待されている。

センサの選択と使用←